看護体制

実は見せかけ、7:1看護体制

1950年、「看護は看護師の手で」というスローガンのもとに導入された「完全看護制度」。病院には昔から看護師がいましたが、看護必要度が高い患者さんが入院している場合ケアが行き届かないため、家族が付き添いをすることが当たり前のようになっていました。この背景には「看護は付添人やお手伝いさんと同じではなく、看護独自の正しい知識と技術を持つ者だけが実践できるものである」という考え方を、広く一般の人にも認識してもらおうという流れがあります。性別によって「看護婦」「看護士」と呼ぶのではなく「看護師」という名称に統一されたことや、医師や薬剤師と同じように看護師も専門職業人であるという意味を込めて「師」と呼ぶようになった運動は、この時代からすでに始まっていたと考えられます。

しかし完全看護を導入したからといって、すぐに現場が変わったわけではありません。看護師の数不足はその当時から始まっていたので、家族の手を借りずに患者さんの日常生活の世話の全般を支えるということは非常に困難でした。その後医療の高度化や看護教育の進歩、社会構造自体の変化などを経て、1997年に付き添い看護がすべての病院で廃止されることになりました。実に40年以上かけて「看護は看護師の手で」というスローガンは実現したのです。

現在はどこの病院でも患者に対する看護師の人数を公表していますが、その中でも特に目立つのが7:1看護体制を謳い文句にしている病院。「ウチは7:1ですから!」とドヤ顔で自慢する看護部長さんが多いこと!7:1になっていない病院では「7:1導入に向けて増員中!」と必死で言い訳しているようにも見えます(笑)

でもその7:1、本当に患者さんに十分なケアを提供できるだけの分厚さなのかは疑問です。毎年大量の退職者を出して、大量の新人を受け入れている病院の7:1なんて危険そのもの。病院の財源となる診療報酬ゲットのためには7:1導入が絶対的ですが、スタッフの入れ替わりが激しすぎる病院の7:1なんていまいち信用できない気がします。ほとんど3年目以下の看護師で切り盛りしている7:1の病院と、ベテランナース達とヘルパーさんがしっかりとタッグを組んでいる10:1の病院。果たしてどっちがいいんでしょう?!

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